岩魚に誘われる魔の底流

隠源の谷

魔の底流へ

訪問者：中橋　正行

くすんだ心情が次第に鮮明にと色付く季節、北海道の真夏としては滅多に到来しない気温３０度を超える日が何年振りかでようやくやって来た。岩魚だイワナ、釣り・食・沢登りと、谷を丸ごと満喫する山行がしたいと中橋さんの口から漏れる。中橋さんを誘った最初の岩魚源流紀行は６年前、今になってみれば、まさかこの世界に魅了されるとは思わなかった・・・その後はニジマス一色へ染まるもの、在来種＝岩魚の世界に開眼している。

溺れそうになる瞬間、いつも瞬時に行うのは背泳ぎ。泳ぎが下手くそなくせに、滝壺に飛び込んだり、複雑な動きをする釜の中、白泡の中へと入って、これまで何度、溺れたことだろうか。そんな悪夢を今回にしても再び見ることになるとは我ながら想像できなかった。あのしつこくまとわり付く水と格闘する長い時間はこれで終わりにしたい・・・

近年、岩魚の世界に魅了され、週末になると道内各地の谷を渡り歩く中橋さんから一報が入る。あそこはサファリパークですよ！・・・泊まりなんぞ持っての他、日帰りでもちゅうちょするほど、林道の各所には羆の痕跡が多々残されている。とてもじゃないですが、あそこらでテントを張る気にはなれません・・・

「魔の底流へ」