ポドゾルの森　春から初夏へ

イトウを追って春から初夏へ 　　　　 　　　　　　 　「北海道イトウの森が消える日」から約一ヶ月後、あれからイトウの森は深い緑に包まれる。 　　　　　　　　　　　　　　　　初夏を迎えた北海道イトウの森 　幻の魚イトウが潜む北海道、ポドゾルの世界も雪代で活力を戻す。幻の魚が生きるポドゾルの森も春終盤に差しかかるとしだいに流れは衰え、灰色に染まる風景も緑に彩る。 　 　　　 　幻の魚が潜む北海道ポドゾルの地、その核心部。幻の魚は何処かと雨が降りしきる中を７時間歩きつづける先には、ポドゾルの森に太古からつづく空間がある。幻の魚、ポドゾルなるその魅力を知る者がやって来るには、特別苦労はないにしても、観光気分で臨むとなると、生涯の中では一生で一度見るかどうかと言ったところだろうか。 　　 　イトウが潜む怪しげに深く淀む流れの側に根を露にする柳の木々が不思議なポドゾルなる世界を創りあげる。 ポドゾルなる大地は、北海道で唯一太古からつづく流れだけあって、幻の魚が隠れるには理想的なポドゾルの地。そこは庭園を思わせる北海道、日本有数の、いや世界屈指の独特なポトゾルからなる世界がある。勿論、そのポドゾルなる世界は後に先にも、ここだけにしか存在しないのです・・・ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　イトウが生きる北海道ポドゾルなる大地には、石ころ一つと見当たらない。原野の果て、ポドゾルは、どこまでも平らで四方八方見渡すかぎりの光景が緑と青い空。幻の魚が棲むこのポドゾル性褐色森林土からなる大地には、限られた植物しか見られなく、イトウと関わりが深い花、チライアパッポ「福寿草」さえ見る事が無い。 　　　 　ポドゾルの北海道、その奥へと進み更にまた奥へと誘われる先には、北海道でポドゾルが誕生して以来からつづく時の「原点」が存在する。地球上から「森」が消滅しようとしている中で、それも自然破壊の最先端を行く破壊王国北海道に、これだけ保存されるポドゾルなる地が今もある。いや偶然に残されただけのもので・・・近い将来と言うより、数年後にはポドゾルの大地も虫食い状態の森になると思うと・・・ 　　　　　　　　　　 　幻の魚は何処？怪しげに虚ろ、黒くどんよりと底知れず深く流れるポドゾルの川。何を考えているのだと目を凝らして見つめ、何処にイトウが潜んでいるのだろうと、静かに流れる暗い川面を見つめる時間は長くも短い。 　　　　　　　 　幻の魚が生きる北海道、巨大魚が潜むに最も相応しい理想的な北海道ポドゾルの地には、穏やかに刻む時の空間が静かに流れています。 　 　　　　　　　 　ポドゾル、その核心部を貫通する流れの半径一キロ内外には道路が無い。それが故に、広く一般に知られることなくぶっ壊されてきたのですが、不毛の大地と呼ばれてきた北海道ポドゾルの森も、２１世紀を迎えた現代では貴重な財産です・・・。 　　　　　　　　　　　　　　　　　森から海へ 　　　　　　　　　　　　 　北海道で幻の魚イトウを求め旅する上では一番ロマンがある海道。ポドゾルの森から何気なく立ち寄る浜辺で見付けたハマボウフウ。砂浜の海岸であれば日本中何処でも見られたこの植物も、近年、乱獲が進み、北海道のとある海岸では絶滅寸前にまで追い込まれている。 　　　　　　　　 　　　　　　　　食うことに執着すると・・・その先には貧しき世界しか残りません。