破壊が進む森にも明るい兆し？

最後の森が残される某支流の源。その姿も確実に変えようとしている。笹と格闘すること２時間、上流へと遡る単独の雄イトウを後目に、ようやく２組のツガイを見つける。

大きさにして９０ｃｍが最大だろうか、大きなペアを組む二匹が上の流れで堀を起し、すぐ一ｍと離れていない下で８０センチ弱のペアが堀を作る。

しばらく観察をつづけること、その上の流れ、大きな雌と並ぶ雄は、なかなか卵を産まない雌にしびれをきらし、一回り小さい下流で堀を作る雌の側へと場を移す「浮気者」な行為を繰り返す。男はどの世界でも同じかな？

春を迎えるたびに、この年は何かが違うと不安になる。その不安が解消されるのは、源でイトウを見た瞬間だ。それが、２００４年の春は確かにこれまでの年とは違うと感じた。

ただイトウが好きだということだけで、とにかく毎年同じことの繰り返し。どうせ今年も何時もと同じだろう、何事もなくやって来るさ、なんて思いつつ、その時期が迫ると気が高まってくる。

これ何だ？知る人ぞ知る某河川、聖地に流れる一つの支流、その上流域に設けられていた落作工は、これまで３年？４年前までは、これが妨げとなりイトウが遡上できずにいた。それが、地元で活動されている方達、そして「釣り師」なる方達、イトウを愛する人々の働きにより現在「遡上が可能」となっている。大きな進展です・・・

５０年に一度の大雪でもイトウは負けないぞ

禁河川巡りの翌日、正確な日時にやって来る聖地へと向かう。

おかしい、そんなはずはないですよ。禁河川で一匹もイトウを見れなかった私は中橋さんに溢す。問題の林道へ向かうと確かに残雪が多い。昨日まで歩いた距離はおよそ２５�`、その疲労が頂点に達しているにしても、この流域を外すわけにはいかない。

初日でいくらかイトウの姿を確認していたにせよ、ここへ来てから排水路だの不健康な水だのと愚痴を吐いていた中橋さんに私は豪語していた。絶対、イトウは来ていますよここには。何が何でも来てるはずです。そう自分に言い聞かせるようにして、源流へと向かう林道を進める箇所まで進む。

道端に顔を覗かせる行者ニンニクの群落にエゾキンポウゲが花咲く。