スニーカーと間違われる！

巨大なイトウが姿を見せる森の奥深く。

イトウに襲われるなど思ってもみなかった。それは旅の最終日、何？襲われる？そう、１ｍ１０を超えるペアにカメラを向け近寄り、私の顔より大きい雄イトウと目が合った瞬間、突然襲い掛かってきた！カメラを持つ右手に噛み付き、体当たりをくらう。とっさに私は後退したが、いくら私がイトウが好きだからとは言え、スニーカーと勘違いしたのか、その後何度か近寄るが蹴散らされてしまった。仲間？ライバルと思われたのだから光栄だ・・・

息を殺して大きなイトウのペアへと近寄り、ファインダーからその姿を覗くが、乳白色の流れは透明度が悪く、至近距離でしかシャッターが押せなかった。

産卵に参加する為、上流を目指す途中、笹の生い茂る根元で体を休める雄イトウ。

イトウの産卵２００４年も例年通り？

某研究者もフィールドとするイトウの川、その支流へと入った。今回の目標は２つ、本来であれば一つに絞る必要があったにせよ、２年越しでようやく揃えることが出来た水中写真の装備一式。一眼レフ＋ハウジングは確かに良い・・・以前まで使っていたインスタントカメラではピンボケが大半だったものが、今回はゼロ枚。

話を本題へ。禁河川巡りで一匹ものイトウと出会えなかった不安は、この支流で解決される。コルゲート管から下って例年、産卵が行われる各ポイントを覗くうち、自然が創り上げた流木の低ダムが現れ、そこに一対のツガイを確認した。水の勢いもかなり激しく濁りもきつい。

なんだかんだとは言え、中橋さんは写してくれていました。

流木の陰でしとやかに体を休める雌に、時たま雄が小刻みに体を振動させ雌をそくす。水中写真としてはかなり濁りは激しいものの、静かに背後から近寄る。イトウとの距離は僅か数十センチ、濁りが激しく全く見えないが、中橋さんの補佐もあり最初の一匹を写すことができた。竿を手放すとイトウとの距離がぐんと近くなった。

そのペアを見つけた箇所と、それより更に下った地点で幾つかの堀が既に作られていた。例年、産卵が行われる日時としては、その時点で２日経過していたので連年通りに産卵が行われていると思っていい。その後、別な川へと行き中抜けはしたものの、同じポイントを境に上下流、水が弱まるのを待ちつつ、ペアを組んだものを探したが、水の増減には関係なく濁流の中で期間内の産卵は終えた。